【裁判例が語る安全衛生最新事情】第150回 JFEメタルファブリカ等事件 未熟練労働者の被災と予見可能性 高松地裁平成20年2月14 日判決
2012.04.01
【安全スタッフ】
Ⅰ 事件の概要
原告X1、X2は被災者である亡A(死亡当時17歳)の父母である。被告Y1は船舶の部材・構造物の製作・修理・販売等を業とする会社であり、被告Y2は、Y1社の下請会社である。亡Aは下請会社のY2社に雇用されていた。
亡Aは、入社から日も浅いこともあって、Y1社の丸亀工場の大型工場内で船舶ブロック組立作業現場および部材工場で現場作業責任者であるNの指示で清掃作業をしていたが、清掃作業を止めて、先輩の作業員Mに対して何かすることないのかと尋ねたので、Mは「壁でもつけといて」「溶接でもしといて」と指示した。それで、それまでも亡Aは溶接技術を教えてもらったことがあったので、亡Aは見よう見まねで、板継作業(壁板と床材の仮溶接作業)を開始した。ところが、転倒防止用治具の仮溶接部分が破断し、鋼鉄製の壁板が外側に倒れ、亡Aは壁板と底盤に挟まれて死亡した。
X1、X2は元請業者Y1社、下請業者Y2社に対して安全配慮義務違反を理由に損害賠償請求訴訟を提起した。なお、亡Aには内縁の妻がいたが、訴訟には加わっていない。…
執筆:弁護士 外井 浩志
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平成24年4月1日第2159号 掲載