【裁判例が語る安全衛生最新事情】第151回 富士通四国システムズ事件 うつ病による休職者への損害賠償 大阪地裁平成20年5月26日判決
2012.04.15
【安全スタッフ】
Ⅰ 事件の概要
被告Y社はソフトウェア開発等を行う会社であり、原告Xは、専門学校を卒業後にシステムエンジニアとして雇用された者である。
Xは、新入社員研修後の平成14年5月末に大阪事業所に配置され、同年10月以降製薬会社向けのソフトウェア開発プロジェクトに従事したが、平成15年1月以降態度が消極的になって作業に遅れが目立つようになり、さらにしばしば朝遅刻をし、夜遅く、または翌朝まで勤務することが増えてきて、平成16年4月にうつ病の診断を受け、同年4月15日から欠勤となり、同年10月以降休職となった。Xの発症1カ月前の時間外労働時間数は1カ月で114時間3分で、直前6カ月間の時間外労働時間数は1カ月平均で105時間1分となっており、恒常的な時間外労働が存在していた。
Xは、過重労働のためにうつ病に罹って長期間の休業を余儀なくされているとして、安全配慮義務違反を理由にY社に対して損害賠償請求訴訟を提起した。
Ⅱ 判決の要旨
1、業務とうつ病発症の因果関係
Y社は、平成15年以降、…
執筆:弁護士 外井 浩志
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平成24年4月15日第2160号 掲載