【社労士が教える労災認定の境界線】第109回 バス運転手が運転中に脳出血を発症、病院に搬送したが死亡
2011.07.15
【安全スタッフ】
災害のあらまし
観光バスの運転手である労働者Aが3泊4日の予定で観光バスを運転し、第4日目に客を送ってから空車で帰路についたが、途中で体の異常を訴え運転不能となり、診療所で応急処置を受けたあと、救急車で総合病院に搬送され診察を受けたが、脳出血により死亡した。
判断
被災労働者の過去3カ月の勤務状況や本件の3泊4日の観光バスの運転業務の内容からすると、脳出血発症の直接の原因は業務に起因するものとは認めがたい。
しかし、業務中に頭部の小出血という比較的徐々に発症したとみられる脳出血が、発症直後に医師の十分な手当を受けることなく、長時間にわたる救急車での搬送中に振盪(しんとう)を受けたために急激な増悪をみたと認められる。このことから業務により治療の機会を喪失したと認めるのが妥当であり、業務に起因することの疾病による死亡であることから、業務上と判断された。
解説
脳出血が業務上の事由によると認められるには、その業務が平常の業務に比して肉体的にも精神的にも量・質とも著しく過重であったかが重要となる。
この件における被災労働者の過去3カ月の勤務状況は…
執筆:中小企業福祉事業団幹事 社会保険労務士こにしオフィス 所長 小西 朋安
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平成23年7月15日第2142号 掲載