【裁判例が語る安全衛生最新事情】第135回 札幌国際観光事件 石綿使用禁止前の死亡と安全配慮義務 札幌地裁平成19年3月2日判決

2011.08.15 【安全スタッフ】
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Ⅰ 事件の概要

 亡Aは、被告Y社に昭和39年4月頃に採用され、昭和60年に退職したが、その間、Y社の経営するホテルのボイラーを担当して、機械室や10階の天井裏で勤務していた。退職後、平成13年に悪性胸膜中皮腫を発症し労災保険の認定を受けたが、平成14年4月に死亡した。原告の妻X1と子X2が被告Y社を相手取って安全配慮義務違反として損害賠償請求訴訟を提起した。

Ⅱ 判決の要旨

1、亡Aの作業環境

 亡Aは、本件ホテルのボイラーを担当する設備係として業務に従事し、業務時間の大半を機械室などで過ごしていた。また、同ホテルの10階の天井裏でも作業に従事したことがある。機械室や10階天井裏には石綿が吹き付けられており、その石綿が劣化により剥離・落下していたものであり、飛散する状況にあったということができる。また、…

執筆:弁護士 外井 浩志

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平成23年8月15日第2144号 掲載
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