【裁判例が語る安全衛生最新事情】第158回 海上自衛隊さわぎり事件 “いじめ”による自殺への損害賠償 福岡高裁平成20年8月25日判決
2012.08.01
【安全スタッフ】
Ⅰ 事件の概要
原告X1は被災者Aの実母、原告X2は被災者Aの養父である。
亡Aは、高校卒業後、平成9年3月に海上自衛隊に入隊し、平成11年3月から護衛艦さわぎりに乗艦していたが、同年11月8日さわぎりの室内で首つり自殺した。
原告X1、X2は、亡Aの自殺は、乗艦中に上官からのいじめが原因である、国は亡Aの自殺を防止すべき安全配慮義務違反があった、海上自衛隊佐世保地方総監部が作成した亡Aの自殺原因についての調査結果は事実に反しており、原告X1らの名誉を侵害するものであると主張して、被告を国として国家賠償法に基づき損害賠償の支払い、謝罪などを求めたが、一審判決(長崎地裁佐世保支部平成17年6月27日判決)は、原告X1らの請求を棄却した。本件は、その控訴審判決である。
Ⅱ 判決の要旨
1、B班長の言動
B班長は、少なくとも平成11年9月中旬ころ以降、…
執筆:弁護士 外井 浩志
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平成24年8月1日第2167号 掲載