【裁判例が語る安全衛生最新事情】第159回 JFEスチール(JFEシステムズ)事件 出向先での過労自殺に対する責任 東京地裁平成20年12月8日判決
2012.08.15
【安全スタッフ】
Ⅰ 事件の概要
原告X1は被災者亡Aの妻、原告X2は亡Aの長女、原告X3は亡Aの長男である。亡Aは被告Y1社に雇用されて、被告Y2社に出向して、自動車メーカーB社向けのシステム開発に携わっていたが、ある自動車会社向けのシステム開発のプロジェクトマネージャーとなり、亡Aは専従して統括管理を行うことになった。しかし、その開発は遅れ、稼動予定日が何度も延期されて、平成12年6月~8月の間には、亡AもB社の事業場に頻繁に出張してシステムテストを継続していた。
亡Aは平成12年11月頃から不調を訴え、発汗・不眠などを訴えるようになり頸椎症、不安神経症、抑うつ神経症などの診断も受けている。その後、亡Aは全身を硬直して倒れ、幻覚症状に支配された亜昏迷状態にあるとして1カ月ほど入院した後に復職。Y2社は短時間勤務措置を講じて、知識習得作業やスケジュール管理作業を行わせたが、自宅で「すべてにおいて自信をなくしました」と記載したメモを残して自殺した。
原告X1らは、被告Y1社、Y2社に対して安全配慮義務違反を理由として損害賠償請求訴訟を提起した。
Ⅱ 判決の要旨
1、被告Y2の安全配慮義務違反
(1)亡Aの勤務実態
亡Aら本件システム開発担当者らは、…
執筆:弁護士 外井 浩志
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平成24年8月15日第2168号 掲載