【裁判例が語る安全衛生最新事情】第160回 JFEシステムズ事件 損害賠償における損益相殺 東京高裁平成21年10月8日判決
2012.09.01
【安全スタッフ】
Ⅰ 事件の概要
原告X1は被災者Aの妻、原告X2は亡Aの長女、原告X3は亡Aの長男である。亡Aは被告Y1に雇用されて、被告Y2に出向し、自動車メーカーB社向けのシステム開発に携わっていたが、B会社向けのシステム開発のプロジェクトマネージャーとなり、亡Aは専従して統括管理を行うことになったが、長時間労働と心理的な負担が大きく、平成12年7月~9月の間にはうつ病に罹患。同年11月頃から不調を訴え、発汗・不眠などを訴えるようになり頸椎症、不安神経症、抑うつ神経症などの診断も受け、平成13年1月には全身が硬直して倒れ、幻覚症状に支配された亜昏迷状態にあるとして1カ月ほど入院した後に復職した。Y2社は短時間勤務措置を講じ、亡Aは知識習得作業やスケジュール管理作業を行ったが、自宅で「すべてにおいて自信をなくしました。」と記載したメモを残して自殺した。
一審判決(東京地裁平成20年12月8日判決、本連載第159回)は、被告Y2の安全配慮義務違反を認め、他方で、亡Aの過失を3割と認定した。本件はその控訴審判決である。
Ⅱ 判決の要旨
1、業務外死亡弔慰金
K製鉄が支給した業務外弔慰金は、…
執筆:弁護士 外井 浩志
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平成24年9月1日第2169号 掲載