【イラストで学ぶリスクアセスメント】第36回 水平親綱ロープの正しい設置
2012.09.15
【安全スタッフ】
垂直移動で扱う安全ブロックの正しい使い方を前回取り上げましたが、今回は水平移動で使用する水平親綱ロープの正しい設置方法をテーマにします。良い器具でも危険性を認識しないで使用すれば、安全の確保はできません。
高所作業で堅固な梁・手すり・鋼管などがない場合、水平移動をしながら安全帯を使用しなければならない場所では、水平親綱を設置する必要があります。水平親綱は、材質・径・スパンおよび張力により垂下量は異なり、安全帯にかかる衝撃力も異なってきます。
下表は破断強度40kN以上のφ16mmのナイロンロープを使用した85kgの砂のう落下衝撃試験の結果です。試験装置は5mと10mのスパンで、ランヤード1.7mのナイロンロープ式安全帯を使用して、落下を阻止した最大垂下量を示しています。
表のとおり、張力0.5kNの10mのスパンで、安全帯にかかる衝撃荷重は3.8kN(386kgf)となり、人体へのダメージは低いですが、落下を阻止した最大垂下量は4.8mです。最悪の場合、頭から落ちるのでプラス1m必要となり、5.8m以上の離隔がないと床面に頭が激突します。
壁面作業中に2人が墜落
高さ5mの位置に1スパン10.2mで水平親綱を手張りで設置しました。作業床の高さは3.6mです。
作業を急いでいたので、…
執筆:中野労働安全コンサルタント事務所 所長 中野 洋一
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平成24年9月15日第2170号 掲載