【裁判例が語る安全衛生最新事情】第162回 デンソー(トヨタ自動車)事件 うつ病罹患者の性格と素因減額 名古屋地裁平成20年10月30日判決

2012.10.01 【安全スタッフ】
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Ⅰ 事件の概要

 原告Xは、被告Y1会社に勤務して自動車エンジン部品の設計業務に従事していたが、真面目で几帳面であり、責任感の強い性格であった。Xは、平成11年8月から平成12年8月までの間、大手自動車メーカーの被告Y2社の工場に長期出張し、Y1、Y2らが共同開発するコモンレール式エンジンの開発に従事したが、平成12年4月頃から倦怠感や憂うつ感を覚えるようになり、うつ状態となった(第1次うつ病)。そして平成12年8月の夏休み明けからうつ状態が増悪して、8月30日から10月27日まで欠勤をし、平成13年1月6日にはうつ状態はいったん消失して寛解した。

 平成14年5月頃、Xは業務担当が変更されて、コモンレール式エンジンを搭載した自動車の開発業務に携わることになったが、平成14年7月にY2社で開催された開発会議の頃から気分が落ち込み、再びうつ病を発症し、同年8月末から平成15年2月末まで再び欠勤した(第2次うつ病)。

 Xは、被告Y1社、Y2社に対して、2度のうつ病発症について安全配慮義務違反による損害賠償請求を提起した。…

執筆:弁護士 外井 浩志

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平成24年10月1日第2171号 掲載
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