【裁判例が語る安全衛生最新事情】第375回 豊和事件 業務軽減怠りうつ病発症で企業責任 大阪地裁令和2年3月4日判決
2021.08.27
【安全スタッフ】
Ⅰ 事件の概要
原告Xは、被告Y社で、平成23年4月に入社して、1級建築施工管理技士の資格を持ち、Y社の施工管理部で、作業内容、納期の把握、現場監督との打ち合わせ、施工業者交付資料の作成、施工手順書の作成、部材の調達依頼、入荷部材の確認、施工業者の手配依頼、施工の進捗状況の確認、建築検査への立会いなどの業務を行っていた。
日常、Xは、午前8時半にY社A支店に出勤し、午前中は事務作業を行い、午後は建築現場に出かけ現場監督などとの打ち合わせを行い、夕方帰社し、事務作業を行い、おおむね午後9時以降に退社していた。ところが、Y社では、施工管理部の会議でも、施工管理部の人員の補強や業務軽減が要求されていたが、実現できない状況であった。
Xは、平成28年8月1日に医師によりうつ病エピソードと診断され、8月30日から同年10月19日まで年次有給休暇を取得し、同年10月20日以降休業となり、平成29年10月30日、労働基準監督署長より業務上災害として休業補償給付を受けた。
Xは、過重な長時間労働に従事させられてうつ病を発症するに至り、Y社に対し安全配慮義務違反または不法行為により、休業損害と慰謝料を請求し、合わせて時間外労働、休日労働手当の支払いを求めた。
Ⅱ 判決の要旨
1、原告Xの時間外労働時間数と相当因果関係
Xの本件疾病の発症前6カ月における時間外労働時間は、…
執筆:弁護士 外井 浩志
この記事の全文は、安全スタッフの定期購読者様のみご覧いただけます。
▶定期購読のご案内はこちら
この連載を見る:
2021年9月1日第2385号 掲載