【人事学望見】第1302回 出勤停止と自宅待機 就業規則の適用あるなしも違う
2021.09.02
【労働新聞】
出勤停止と自宅待機命令は、似て非なるもの。就労を一定期間禁止する出勤停止は就業規則の懲戒規定という裏付けが必要で賃金を支給する必要はない。後者は、業務上の必要性から発令されるため、就業規則の根拠は必要ないものの、賃金は原則支払わなければならない。
懲戒事由が存するか否か
所持品のなかから発見された現金700円をめぐって争われたのは西日本鉄道事件(福岡地決昭48・4・3)である。
事件のあらまし
電車軌道、自動車運送事業を営むY社で自動車運転士兼車掌として勤務していたAが、所持品検査を受けた際、免許証入れのなかから現金700円が発見された。
Y社は、この事実を重くみて、就業規則に規定する「従業員が私金の携帯所持義務に違反して現金を携帯、所持していた場合には懲戒解雇とする」に適合すると主張し、懲戒解雇の事前措置として出勤停止処分を行った。…
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令和3年9月6日第3319号12面 掲載