【裁判例が語る安全衛生最新事情】第165回 音更町農業協同組合事件 業務過多による自殺への損害賠償 釧路地裁帯広支部平成21年2月2日判決
2012.11.15
【安全スタッフ】
Ⅰ 事件の概要
被災者亡Aは、平成6年4月にY農協に採用された職員であり、亡Aは、大学卒業後Y農協の正職員となり、平成13年4月から青果課に所属していたが、平成17年5月の自殺当時、青果課係長であった。
平成16年6月、亡Aは、同課のN係長が疾病で入院休職していたことから、その担当していた業務を分担して行っていたが、同年9月にN係長が復帰した後も万全ではないので亡Aの業務過多の状態が続いていた。その後、平成16年6月、7月頃から亡Aは体調の不調を訴え、病院で検査をすることもあったが、担当業務は増大し、残業、早朝出勤、休日出勤も増え、超過勤務状態となり、疲労が蓄積している状態となった。
平成17年4月に亡Aは同課の係長に昇進したものの、同年5月12日に、おがくずにガラス片が混入するという事件が発覚し、M課長への報告が遅れたことから、5月14日にM課長から厳しい叱責を受け、5月15日朝、ロープで首を吊って自殺した。
遺族である妻X1、子X2が、安全配慮義務違反を理由として、Y農協に対して損害賠償請求訴訟を提起した。…
執筆:弁護士 外井 浩志
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平成24年11月15日第2174号 掲載