【多角的に考える両立支援の実践――改正育介法対応】第11回 突発休への対応 カギは業務の平準化 代役いれば影響最小限に/大浦 綾子
0歳児の年間病欠20日
保育園児1人当たりの年間病欠日数に関する調査結果がある(野原理子ら、東京女子医科大学雑誌87巻5号146~150頁、平成29年10月)。それによると、0歳=19.3日、1歳=12.8日、2歳=8.9日、3歳=7.0日、4歳=6.5日、5歳=5.4日となっている。
これを働く親の側からみれば、看護できる者を親以外で手配できる場合は別として、多くの者が、同等の日数、親1人であるいは2人で分担して、未就学児の看護のために仕事を休んでいることになる。
その際、親が利用する制度として、育児介護休業法上の看護休暇がある。法定の最低限度として、小学校就学前の子につき、子1人の場合は5日、子2人以上の場合は10日の無給休暇が付与される。令和3年1月施行の法改正で企業には、原則として時間単位の取得を認める制度設計が求められている。これに上乗せする形で、看護休暇の取得可能期間を延長したり、日数を増やしたり、有給としたり、中抜けを認める制度設計としたり、あるいは、年次有給休暇や失効した年休に関する「積立年休制度」につき、当日申請による看護目的取得を認めていたりするところもある。
看護休暇について、育児介護休業法施行通達が「労働者が休暇取得当日に電話により看護休暇申出をした場合であっても、事業主はこれを拒むことができない」としているとおり、看護目的の休暇は、当日に申請されることがほとんどであり、いわゆる、突発休や、突発の遅刻・早退が発生することになる。
子育て世代の親たちは、突発休で周囲に迷惑を掛けることを気兼ねし、子どものちょっとした不機嫌や毎朝の検温に、常に気を張っている。彼らの上司が、…
筆者:野口&パートナーズ法律事務所 弁護士 大浦 綾子
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