【人事学望見】第1304回 基本判例◇解雇権濫用法理 なんと旧規則の未周知で差戻し
2021.09.16
【労働新聞】
期間の定めのない労働契約については原則として、使用者は30日前に予告すれば解雇する権限を有している。ところが、解雇権濫用法理の登場によって厳しく客観的に合理的な理由が問われ、今日では、先進諸国のなかで最も解雇が難しい状態となっている。
ユ・シ協定 労組除名無効
厚労省がまとめている「雇用指針」では、「客観的に合理的な理由」について次のように分類している。
①労働者の労務提供の不能による解雇、②能力不足、成績不良、勤務態度不良、適格性欠如による解雇、③職場規律違反、勤務懈怠による解雇、④経営上の必要性による解雇、⑤ユニオン・ショップ協定による解雇がそれである。
解雇権濫用法理登場のきっかけとなったといわれているのが、日本食塩製造事件(最二小判昭50・4・25)である。
事件のあらまし
Y会社と組合との間には、新機械の導入に関し意見の対立がみられたが、この間Aは、一部職場の女子従業員に対し職場離脱をなさしめたほか、無届集会をしたこと、さらに夏季一時金要求に伴う闘争に関し会社役員の入構を阻止をしたなどの事案がY社の職場規律を害するものとして懲戒解雇された。
組合は不当労働行為を申し立て処分撤回の和解が成立した。この成立の日をもってAが退職する旨の規定が含まれていたものの、…
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令和3年9月20日第3321号12面 掲載