【パンデミック、大災害に対処 BCP策定講座】第11回 事業継続対策④ 通信手段の確保 Wi-Fiなど活用 事前に従業員へ使用訓練/丸谷 浩明
回線混む懸念あり
(1)通信手段の確保の必要性
普段は業務上の通信手段として使われることの多い携帯電話だが、大規模な災害が発生した際には通信に大きな影響を受けるだろう。街中のアンテナ設備や有線回線の被害、アンテナ設備の停電・電池切れによる停波によっては、使用不能になる懸念がある。固定電話も、電話交換機や通信設備・回線などの被害があればつながらなくなる。
これらは電話システム側の供給能力の喪失であるが、さらに災害発生直後からしばらくの間は、個人や組織の被害確認、安否確認などによる通信需要が急激に増大する。携帯電話や固定電話には大幅な発信制限がかかり、非常につながりにくくなる。この現象を、「輻輳(ふくそう)」と呼ぶ。
電話がつながらないと、停電はしていなくても緊急連絡網は使えず、従業員への個別の安否確認の電話も通じない。重要な取引先、関係先への電話連絡もできなくなる。電子メールで連絡を取ろうとしても、インターネットがつながらなければ送れない。
そこで、BCPには通信支障の発生に備えてできるだけ多様な通信手段を記載しておく。従業員には事前に習熟し、場合によっては平常時から練習をさせておくことが必要になる。
(2)輻輳対策としての携帯メール
電話の輻輳への対策としては、まず、携帯電話のメール機能の活用が1つの手段となる。携帯電話の通話と同じ電波回線を使うものの、…
筆者:東北大学災害科学国際研究所 副研究所長・教授
NPO法人事業継続推進機構 理事長 丸谷 浩明
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