【パンデミック、大災害に対処 BCP策定講座】第14回 新型コロナ ②感染症対応のBCP 人的資源不足を防ぐ 単独業務の代行者育成も/丸谷 浩明
2021.10.07
【労働新聞】
働き手が減る懸念
(1)感染症対応のBCPとは
今回は、感染症に対応するBCPについてご説明する。ただし、BCPにおいて感染症を自然災害と並べて扱う場合、感染症の深刻さは現在の新型コロナウイルス感染症のレベルではなく、より高い感染力と重症化しやすさを想定することが多い。すなわち、日本の重要な企業や社会の活動により広く深刻な影響を与える場合である。
いわゆる「強毒性」の新型インフルエンザは、2009年頃に発生懸念が増し、BCPで備える必要性が高まった。人間にはほとんど感染しない「強毒性」の鳥インフルエンザが変異し、人間に感染しやすくなる可能性を恐れたものであった。
鳥インフルエンザは、感染した鳥が全滅するような強毒性で、ウイルスが呼吸器だけではなく全臓器に感染する。これが人間に感染しやすく変異して新型のインフルエンザが発生すれば、死亡率は新型コロナよりも相当高い。死亡者数の増加で働く人が不足した場合、基本的な社会機能をどう維持するかといったぎりぎりの状況の発生が想定されていた。
(2)地震と感染症のBCPの比較
深刻な感染症に備えるBCPと、地震タイプの危機に備えるBCPの復旧曲線を比較したのが別図である。地震タイプでは、…
筆者:東北大学災害科学国際研究所 副研究所長・教授
NPO法人事業継続推進機構 理事長 丸谷 浩明
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令和3年10月11日第3324号11面 掲載