【裁判例が語る安全衛生最新事情】第379回 La Tortuga事件 心筋炎悪化と注意義務違反に因果 大阪地裁令和2年2月21日判決

2021.10.27 【安全スタッフ】
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Ⅰ 事件の概要

 亡Aは、被告Y1社の経営するフレンチレストランで調理を担当していた者である。被告Y2はY1社のオーナーシェフで代表者である。

 亡Aは、平成24年11月24日に急性心筋炎と診断されて入院し、症状が悪化したので補助人工心臓装着手術を受けて一旦は軽快退院したが、その後も体調は改善せずに、平成26年1月3日に再入院して同年6月に脳出血により死亡した。

 原告X1は亡Aの妻、原告X2は亡Aの父、原告X3は亡Aの母である。

 X1らは、亡Aが発症した心筋炎は、亡Aの長年にわたる時間外労働が1月250時間にも及ぶ長時間労働により、免疫力が低下したものであるとして、Y1社に対しては会社法350条による責任または安全配慮義務違反、Y2に対しては会社の代表として不法行為または会社法429条1項により損害賠償責任を負うとして、訴えを提起した。

 なお、X1は、労災請求をしたところ、大阪中央労基署長は業務外とし、審査請求、再審査請求のいずれも棄却されたので取消訴訟を提起したところ、大阪地裁は、業務外決定を取り消した(大阪地裁令和元年5月15日判決)。ただし、被告国が控訴している。

Ⅱ 判決の要旨

1、亡Aの時間外労働時間

 亡Aは、本件レストランから自転車で5分程度のところに住んでいたことから、…

執筆:弁護士 外井 浩志

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2021年11月1日第2389号 掲載
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