【パンデミック、大災害に対処 BCP策定講座】第16回 BCPの運用(BCM) ①点検・是正 年1回以上定期的に 担当者が相互連携し修正/丸谷 浩明
経営者が方針示す
(1)はじめに
BCPは、事業継続計画の英語(Business Continuity Plan)の略語であり、「計画の文書」を意味する。しかし、事業継続の取組みは、文書を作成することが目的ではないのは明らかである。
海外では、事業継続計画の策定・運用を事業継続マネジメント(BCM)と呼ぶことが多い。日本では防災を目的とした防災計画の策定が重要という認識が強いためか、事業継続マネジメントのなかの計画を意味するBCPが用語として広く使われている。実際には、BCPを策定するだけでなく、BCPに盛り込まれた事前対策を着実に実施し、さらに、平常時の適切な運用、継続的な改善が重要であることは、日本においても変わらない。
そのため、BCPの策定後の運用段階で、全社的な体制を確保する必要がある。BCPの策定を終えても全社的組織を解散せず、担当部局から兼務でも良いので実行力のあるメンバーを引き続き確保し続け、運用を主導する体制を整えると良いだろう。
運用の段階でも、経営者の役割は大きい。経営者が各部署の運用状況について定期的に報告を受ける機会を作ることが必要である。事業継続マネジメントの取組み状況が、人事評価や給与査定、予算配分などに響くものであるとの理解を社内に広げないと、災害対応は急ぎの用務ではないとしてつい先送りされ、結局長続きしない。BCPの運用が経営者の優先度の高い関心事項であると示すことが重要となる。…
筆者:東北大学災害科学国際研究所 副研究所長・教授
NPO法人事業継続推進機構 理事長 丸谷 浩明
この記事の全文は、労働新聞の定期購読者様のみご覧いただけます。
▶定期購読のご案内はこちら