【パンデミック、大災害に対処 BCP策定講座】第17回 BCM② 教育・訓練(その1) 事前に問題点把握へ 緊急時の判断を疑似体験/丸谷 浩明
2021.10.28
【労働新聞】
実行できるか確認
(1)教育・訓練の必要性
事業継続計画(BCP)の策定がとりあえず終わったら、教育・訓練を行って事業継続力を高めていく必要がある。たとえば、経営者が簡易な様式に直感的に書き込む方法でBCPを策定した場合、BCPが経営者の意図どおりに現場に理解され、実行できるのかの確認が不可欠である。「このような被害を受けた場合でもこの時間内に復旧させる」と経営者が記載しても、現場から実行できないとの声が上がるかもしれない。
現場からの意見に対し、経営者はどうすれば目標復旧時間内に復旧できると考えたのかを説明して理解を求める必要がある。一方、現場は、なぜ目標復旧時間までの復旧が難しいと考えるのかを経営者に説明し、その事情を反映した加筆・修正を求めると良いだろう。
BCPの策定に当たって慎重に調査・分析を行った場合であっても、模擬的に実施してみる訓練を行うことで、改善すべき点がみつかることがほとんどであるといって良い。
教育・訓練は、BCPやそのマニュアルの不足している点、実態に合っていない点などの問題点を洗い出し、有効性を検証するために不可欠である。
(2)教育・訓練の目的
BCPやマニュアルに問題点がなくても、…
筆者:東北大学災害科学国際研究所 副研究所長・教授
NPO法人事業継続推進機構 理事長 丸谷 浩明
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令和3年11月1日第3327号11面 掲載