【裁判例が語る安全衛生最新事情】第380回 池一菜果園事件 強い叱責受けての自殺に企業責任 高知地裁令和2年2月28日判決
2021.11.10
【安全スタッフ】
Ⅰ 事件の概要
被告Y1社は、フルーツトマト生産の会社であり、Y2はその代表取締役であり、Y3はY2の娘であり、常務取締役である。亡Aは、死亡当時59歳の女性であり、自らフルーツトマトの生産農家であったが、Y2に期間職員として雇用され、Y2が法人化してY1社を設立したときに、入社した。その後、亡Aは統括責任者・統括部長となった。
原告X1は亡Aの夫であり、原告X2、X3はいずれも亡Aの娘である。
亡Aは、かなりの時間外労働により疲労していたうえに、平成22年2月6日、8日と2度にわたってY3から強く不満をいわれて叱責されたことが直接のきっかけとなって2月9日自宅で自殺した。X1は、須崎労働基準監督署長に、Y3からいわれなき強い叱責を受けて自殺したことを理由として労災請求をし、平成24年11月20日に遺族補償年金などが支給された。
X1らは、被告をY1社、Y2、Y3として、Y1に対して安全配慮義務違反による損害賠償責任、不法行為責任、Y2、Y3に対しては、会社法429条に基づく損害賠償責任を求める訴えを提起した。
Ⅱ 判決の要旨
1、亡Aの時間外労働など
亡Aの死亡するまでの6か月間の時間外労働は次のとおりである。…
執筆:弁護士 外井 浩志
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2021年11月15日第2390号 掲載