【人事学望見】第1311回 退職者加入労組と団交 社長の顔見たくないと代行頼む
2021.11.04
【労働新聞】
近年、退職代行サービスの利用者が増えているという。専門業者も多いが、玉石混交の状態のようだ。「使用者と対面で話したくない」というのなら、弁護士や労働組合に相談するという方法もある。ユニオン(合同労組)に「駆け込む」のは昔からある方法だ。
伝言ゲームのもどかしさ
退職に関する交渉を他者にゆだねる原因はいろいろあるだろう。本人の性格に由来することもあるが、会社の経営者や上司の態度に問題があることも少なくない。
しかし、ブラック企業(あるいは「グレー企業」)ならいざ知らず、多くの場合、経営者・上司は、退職の意思を伝えられて、初めて問題の大きさに気付くパターンが多い。
「職場環境や業務内容に不満があるのなら、今からでも、直接、話をしよう。改めるべき事実があるなら、会社としても、努力しよう」
普通は、そういう反応をみせるはずだ。
しかし、合同労組などが間に入って交渉する場合、交渉権限の問題が発生する。
労組法では、「労働組合の代表者等は、労働組合・組合員のために使用者等と交渉する権限を有する」と定めている。
会社側が「直接、本人と話をしたい」といっても、労組の代表者は、当然、拒否することになる。見ず知らずの他人(合同労組の代表者)と交渉するよりは、本人と「腹を割って話した方が、解決につながる」などと主張してみても、もう直接交渉の道は閉ざされているわけだ。
仮に経営者が「強行突破」で、…
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令和3年11月8日第3328号12面 掲載