【ぶれい考】労働者性と使用者性/野川 忍
2021.11.25
【労働新聞】
昨今の労働行政や裁判例が直面しているトレンドの一つが、労働者性と使用者性をめぐる争いである。
簡単にいえば、「労働者性」とは、ある人が働いていて何らかの不都合を被ったときに、労働基準法などの適用によって救済されるかという問題であり、「使用者性」とは、何らかの関係を持っている相手方に対して、法的な意味での使用者として責任を問われるか、という問題である。
たとえば、委託契約を締結して商品の配達に従事していた者が配達途中に交通事故に遭った場合、労災保険からの給付を受けることができるかどうか、また、子会社に労働組合ができて親会社に対して団体交渉を要求してきた場合、その親会社は団交に応じる義務があるかどうか、といった具体的ケースがある。
最近になってこの問題は範囲を広げ、また深刻度を増している。…
筆者:明治大学専門職大学院 法務研究科 専任教授 野川 忍
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令和3年12月6日第3331号5面 掲載