【人事学望見】第1315回 過労死と認定基準の改正 自宅でも頭から仕事が離れない
2021.12.02
【労働新聞】
過労死の認定基準がおよそ20年ぶりに改正され、令和3年9月に公表されている。過労死というと、広義には「身体的な病気」と「精神的な病気(それを理由とする自殺)」の2種類を指す。今回の改正は、このうち前者に関するものとなっている。
勤務態様の不規則性重視
そもそも認定基準とは何だろうか。労災保険では、「業務上の負傷、疾病、障害または死亡」に対して保険給付を行う。業務上の負傷は、イメージとしては分かりやすい。建設用の重機が転倒し、挟まれた労働者がケガをすれば、これは業務上の負傷となる。
しかし、疾病の方は一筋縄ではいかない。災害性の疾病はともかく、長時間の有害作用が蓄積するタイプの疾病は、業務に起因するか否かの判断が容易でない。その典型が、過労を理由とする脳・心臓疾患だ。
事業所内で、心臓発作を起こして倒れれば、「すわ、労働災害の発生」と大騒ぎになりそうだが、それが私病によるものなら、労災申請の対象にならない。一方、…
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令和3年12月13日第3332号12面 掲載