【裁判例が語る安全衛生最新事情】第382回 多摩市事件 突然の実家訪問パワハラと認めず 東京地裁令和2年10月8日判決
2021.12.10
【安全スタッフ】
Ⅰ 事件の概要
原告Xは、被告Y市の元職員である。Xは平成25年4月1日に、一般事務職としてY市に雇用された。
Xは入職後、すぐに子ども青少年部子育て支援課に配属され、その後、平成27年10月1日に教育部学校給食センターQ1調理所へ異動した。
Xは、平成28年8月29日に自律神経失調症と診断されて、その後同年11月26日まで病気休暇を取得し、同月27日病気休職となった。その後、6カ月間の休職を繰り返したが、平成30年11月27日にY市に退職届を提出し、復職しないままY市を退職した。
Xは、Y市から人事権を濫用した違法な転勤命令を受けたことにより自律神経失調症にり患し、それにより病気休職に追い込まれた。さらに、休職期間中に、Y市職員からの違法なパワーハラスメントによって退職に追い込まれたと主張して、Y市に対して、民法415条、国家賠償法1条1項により、慰謝料200万円、1年分の逸失利益約418万円、弁護士費用61万円の合計約680万円の損害賠償請求訴訟を提起した。
Ⅱ 判決の要旨
1、人事異動の正当性
平成27年10月期の異動は、…
執筆:弁護士 外井 浩志
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2021年12月15日第2392号 掲載