【裁判例で読み解く!!企業の安全配慮義務】最終回 労働時間 厳密さ求めない事案も 割賃支払いと異なる考え/家永 勲
2021.12.16
【労働新聞】
2つの概念が存在か
脳・心臓疾患等に関する労災認定基準においても、精神障害に関する労災認定基準においても、長時間にわたる時間外労働に代表される過重労働が、最も重要な要因として評価されていることは周知のとおりである。
ここでいう時間外労働時間数については、1週間当たり40時間を超えて労働した時間数であるとされており、「労働時間」については、労働基準法と同様に、使用者の指揮命令下に置かれている時間帯を意味するとされてきた。
労働基準法における「労働時間」については、時間外労働などの割増賃金の支払い(労働基準法37条)と強く関連しており、把握に不備が生じた場合には、労働基準法が定める賃金全額払いの原則(労働基準法24条)に違反することにつながり、罰則をもって規制されている(労働基準法119条および120条)ことも無視することはできない。罰則による規制がなされている以上、労働基準法上の「労働時間」の解釈については、できる限り明確でなければならない。
一方で、…
筆者:弁護士法人ALG&Associates 執行役員・弁護士 家永 勲
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令和3年12月27日第3334号13面 掲載