【ブラック企業と呼ばせない!!ネットの誹謗中傷対策】第1回 なぜ対応が求められるのか 事実無根の書込みも 採用活動へ悪影響及ぼす/田村 裕一郎・染谷 裕大
改正法が今年施行に
近年、インターネット上の誹謗中傷は社会問題としてより広く認知され始めている。とくに、人気リアリティー番組の出演者の番組内の発言がSNS上で「炎上」し、多くの中傷コメントが投稿され、その後出演者が亡くなった事件は、社会的にも多くの注目を集めた。
そのようななかで、令和3年4月21日に、「特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律」(以下、改正前の法律を「現行法」、改正後の法律を「改正法」という)の改正案が成立した。令和4年10月頃までに施行されることが予定されている。
インターネット上の誹謗中傷について、企業活動との関係では、従業員や退職者(以下、併せて「内部者」という)が転職(就職)口コミサイト等(以下、「口コミサイト等」という)に(元)勤務先企業の労働環境などに関する事実無根の悪評の投稿を行い、それを閲覧した就職・転職活動中の人(以下、「転職者等」という)が当該企業を避けることで応募者数が減少するなど、当該企業の採用活動に悪影響を及ぼすケースが問題となっている(①)。
最近では、口コミサイト等の数が増え、就職・転職活動において口コミサイト等を利用することが一般的になっている。口コミサイト等では、企業の内部者によって、とくに通常企業が公表しない「マイナスの部分」の情報も投稿されるため、転職者等にとっては貴重な情報源となる。もっとも、口コミサイト等の投稿内容が真実であるか否かは、外部者である転職者等には一見して明らかではない。そのため、ある企業に関して事実無根の悪評が投稿され、それを閲覧し真実であると誤認した転職者等が当該企業への応募を取り止めるということも起こり得る。…
筆者:多湖・岩田・田村法律事務所 弁護士 田村 裕一郎・染谷 裕大
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