【人事学望見】第1318回 雇止め法理の明文化 期間満了でも自動終了と認めず
有期雇用労働者の雇用管理について振り返ると、エポックを画したのは平成24年の労働契約法改正だ。ポイントは、無期転換ルールの整備と雇止め法理の明文化の2点で、「雇用の調整弁」と呼ばれていた有期雇用労働者の雇用安定に大きな役割を果たした。
実質無期か合理的期待で
企業が、できれば有期雇用を選択したいと考えるのは、必要(経営状況)に応じ、「解雇」ではなく、「期間満了による雇止め」という形で、雇用関係を速やかに解消できるからだ。しかし、企業にとっての便益性は、労働者の雇用の不安定という犠牲の上に成り立っている。
この不均衡を是正するために、法律の整備が図られたわけだが、2種類のアプローチを併用する方針が採られた。雇止め法理の明文化は、有期雇用労働者としての身分の安定を保障するものだ。無期転換ルールは、「有期雇用の保障」だけでは足りず、より安定的な無期雇用としての身分を付与しようというものだ。
本欄では、雇止め法理の内容について再確認しよう。期間雇用は、その建前からいえば、期間の終了とともに契約の効力も当然に消滅する。しかし、労契法19条では、更新の拒絶が「客観的・合理的な理由を欠き、社会通念上相当と認められないとき」は、雇止めを無効とするという法理を明文化した。ただし、このルールが適用されるのは、①実質無期状態にある(同条1号)、②契約更新につき合理的な期待が認められる(同条2号)のいずれかの条件を満たす者が更新を申込みした場合に限られる。
実務的には、…
この記事の全文は、労働新聞の定期購読者様のみご覧いただけます。
▶定期購読のご案内はこちら