【ブラック企業と呼ばせない!!ネットの誹謗中傷対策】第2回 開示請求と削除請求 反真実性証明が鍵に 社会的評価の低下要する/田村 裕一郎・染谷 裕大
求められる早期対応
口コミサイト等における自社への誹謗中傷投稿を発見した場合、発信者情報の開示をめざすのであれば、プロバイダにおけるログ保存期間との関係で、早期に弁護士に相談し開示請求を行うことが重要である。削除請求の場合でも、誹謗中傷投稿の影響を最小限に留めるためには、早期の対応が求められる。
企業の担当者は、まず弁護士に相談すべき事案かどうかを検討する必要があるし、相談の際には弁護士の説明を的確に理解する必要もある。そのため、どのような場合に発信者情報開示請求または削除請求(以下、併せて「開示請求等」という)が認められるのかについて、一定の知識を持っておくことが有益である。また、いざというときに有効な証拠(疎明資料)を提出できるように準備しておく点では、人事・総務部の役割が重要となる。
そこで、今回から次回にかけて、開示請求等をするための要件(投稿内容に関するものに限る。以下同じ)を概観したい。
被害者(企業)がCPおよびAPなどのプロバイダ(CP、APの定義は第1回参照)に対して発信者情報開示請求をするためには、投稿内容に関し、少なくとも表の①権利侵害の明白性と②発信者情報の開示を受けるべき正当な理由を主張立証する必要がある。この点は改正法でも実質的な変更はない。なお、改正法では新たに特定発信者情報(ログイン時のIPアドレス情報等)の開示請求の要件が規定されたが、こちらは別の回で詳述する。
本連載が対象とする名誉毀損の類型では、要件①は、表の(ア)誹謗中傷投稿が被害者(企業)の社会的評価を低下させていること、および(イ)違法性阻却事由の存在を窺わせる事情がないこと、となる。…
筆者:多湖・岩田・田村法律事務所 弁護士 田村 裕一郎・染谷 裕大
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