【高まるリスクに対処!新時代の労働時間管理】第4回 任意参加の研修・教育訓練 事実上強制と認定も 欠席時の不利益確認を/岸田 鑑彦
レポート提出は「指示」
研修・教育訓練については、自己研鑽のための研修から会社が指示する必須研修までさまざまだ。また任意参加としていながらも事実上参加が強制されている研修もある。労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン(以下「ガイドライン」)では、「参加することが業務上義務付けられている研修・教育訓練の受講や、使用者の指示により業務に必要な学習等を行っていた時間」は、労働時間として扱わなければならないとしている。また、通達では「労働者が使用者の実施する教育に参加することについて、就業規則上の制裁等の不利益取扱いによる出席の強制がなく自由参加のものであれば、時間外労働にはならない」(昭26・1・20基収2875号)とある。
研修・教育訓練が労働時間に該当するか否かは、参加が強制(事実上の強制も含む)か任意か、不参加による不利益があるか、研修・教育内容が本来業務に関連するか、などが判断材料になるだろう。
厚労省のパンフレット「『研修・教育訓練』等の取扱い」では、労働時間に該当しない例として「会社が外国人講師を呼んで開催している任意参加の英会話講習。なお、英会話は業務とは関連性がない」が挙げられている。このように業務上必須とはいえず、むしろ自身のスキルアップにつながるような内容の研修であり、かつ参加が強制されていないような場合は労働時間には該当しないだろう。
では会社が、新入社員に対して、マナー研修を受けるよう指示し、受講後にレポートを提出させる場合はどうか。…
筆者:杜若経営法律事務所 弁護士 岸田 鑑彦
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