【社労士が教える労災認定の境界線】第338回 工事現場で転倒し、半年後に骨折発覚
災害のあらまし
大工(70歳)は、住宅建築現場でアスファルトを養生するため敷いていたコンパネとブルーシートの上で、残材整理中に薄く積もっていた雪に足を取られてしまい、滑って仰向けになり、コンパネの角に腰と背中を強打した。痛みはあったが、様子を見ていると3~4週間ほどで改善されたため、仕事を続けていた。6カ月後にアスベストの定期検査で、これとは別に肺に少々痛みがあったことから、医師に相談したところ、検査の結果、肺ではなく整形外科のレントゲン検査を勧められてそのまま受診した。レントゲン検査の結果、背骨の再検査と再診察が必要となり、建築現場での横転が要因ではないかと指摘されるも、転倒後6カ月が経過していた。
判断
災害発生日から6カ月が経過していたが、レントゲン検査の結果「第11胸椎偽関節(受傷後6カ月経過しても異常可能性な明らかな状態で、骨折した骨が再生する過程で止まってしまい、骨がうまく癒合しないで、本来つながっている部分がきれいにくっつかず、関節のようになってしまう)」と診断された。私生活においても思い当たる事故もなく、少々痛みはありつつ通常の業務はこなしていたが、医師から腰と背中を強打したことに伴う症状であり、その当時の状況から業務上と判断された。
解説
業務上の災害と判断する基準は、業務の原因となる行為が「作業遂行中の事故であるかどうか」、つまり事業主の支配下にあるかどうかの…
執筆:一般社団法人SRアップ21 北海道会
サッポロ労務行政事務所 所長 和田 繁彦
◇SRアップ21:www.srup21.or.jp
この記事の全文は、安全スタッフの定期購読者様のみご覧いただけます。
▶定期購読のご案内はこちら