【トラブル回避型 解雇、退職勧奨の手法】第7回 能力不足による普通解雇 限定度合で要件異なる 専門職も一度は配転を/延増 拓郎
2022.02.24
【労働新聞】
ゼネラリストには厳格
ゼネラリストは、学歴や成績などに基づいて新卒一括採用され、特定の業務遂行能力は労働契約の内容に含まれていない。その能力は、社員教育や人事異動によって身に着けていくことが前提である。そのため、教育・指導による改善が期待できる限りは解雇を回避すべきとして、解雇の相当性は厳格に判断される。
裁判例は、新卒や第二新卒として入社し、長年勤務した高年齢者の解雇についても「単なる成績不良ではなく、企業経営や運営に現に支障・損害を生じ、または重大な損害を生じる恐れがあり、企業から排除しなければならない程度に至っていることを要する」と相当性を厳格に判断している(エース損害保険事件=東京地決平13・8・10)。
これが、裁判所の典型的な傾向とされる。新卒一括採用したゼネラリストに対しては、能力不足を理由に解雇するのは難しいだろう。
一方、新卒採用でも、技術開発などの専門能力が必要な職種に特定して労働契約を締結する場合がある。契約締結時に「職種変更なし」、「契約上特定された職務遂行能力を有しなければ契約を解消する」旨を明示していれば、能力不足を理由とする解雇が有効となる可能性がある。
ただし、新卒採用やそれに準じる若年者の中途採用の場合は、…
筆者:石嵜・山中総合法律事務所 代表弁護士 延増 拓郎
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令和4年2月28日第3342号11面 掲載