【ぶれい考】労働協約の拡張適用/野川 忍
2022.03.03
【労働新聞】
先年、茨城県を中心とする家電量販店で働く労働者に対し、UAゼンセンと事業主団体とが締結した労働協約に「地域的一般的拘束力」が付与され、当該地域の同種の労働者には、労働組合に加盟していなくても一律に同協約の内容が適用されることとなった。
この仕組みは一般には分かりにくいので、ここで最低限の意味を確認しておきたい。
労働協約は使用者と労働組合が締結する書面協定で、そこで規定された労働条件は個々の組合員と使用者との労働契約を規律する。労働組合は組合員を代表して労働協約を締結するのであるから、通常は当該協約の内容は組合員だけに適用されるが、労組法は2つの例外を認めている。第17条による事業場単位の一般的拘束力制度と、第18条による地域単位の一般的拘束力制度である。
このうち前者は…
筆者:明治大学専門職大学院 法務研究科 専任教授 野川 忍
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令和4年3月7日第3343号5面 掲載