【ぶれい考】トヨタ労組の要求に注目/石田 雅彦
2022.03.10
【労働新聞】
22年春季労使交渉が進んでいる。昨年、大手企業の賃上げ実績は8年ぶりに2%を割り込んだが、今年も新型コロナウイルスの再拡大や物価上昇などにより経営環境の不透明感が増し、業績のバラツキもあり、賃上げがどこまで広がるかが焦点となっている。
賃金水準については、最近、「ITエンジニアなど専門人材のニーズが高まっているが、外国人は日本人より給与相場が高いため採用できない」との話がある。また、たとえば、東京とニューヨークの金融機関の給与を比較すると、今に始まった話ではないが、後者の方がかなり高い。ハンバーガーの値段は米国では日本の1.6倍だそうだが、それをはるかに超える格差も当たり前である。日本の一人当たり労働生産性はOECD加盟国38カ国中28位までダウンしており、実質賃金低下の要因となっている。
賃上げに関するバーゲニング・パワー(交渉における対抗力)の大小も賃金格差の要因ではないか。ニューヨークの金融業界のように労働市場の流動性が高いところでは、…
筆者:オリックス生命保険 執行役員 石田 雅彦
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令和4年3月14日第3344号5面 掲載