【トラブル回避型 解雇、退職勧奨の手法】第9回 傷病・障害 療養中は解雇制限あり 治癒後も職場復帰支援を/延増 拓郎
2022.03.10
【労働新聞】
打切補償による対応も
労働者が病気や負傷により労務の提供ができない場合は、労働契約上の債務不履行となり、原則として普通解雇事由に該当する。
ただし、業務上の傷病の場合は、療養中およびその後30日間が経過するまで解雇は禁止される(労働基準法19条)。この「療養」に治癒(症状固定)後の通院などは含まれず、治癒後の復帰不能を理由に解雇するのであれば、解雇制限の適用はない。
もっとも、業務災害がなければ労務提供が可能であった場合の解雇が有効となるためには、「職場復帰に向けて支援したが、従来の業務を遂行する能力がなく、配転をする業務が存在しない」などの事情が必要と考える(光洋運輸事件=名古屋地判平元・7・28、名古屋埠頭事件=名古屋地判平2・4・27、大阪築港運輸事件=大阪地決平2・8・31)。
例外として、使用者が療養補償(労基法75条)を支給している労働者が、…
筆者:石嵜・山中総合法律事務所 代表弁護士 延増 拓郎
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令和4年3月14日第3344号11面 掲載