【裁判例が語る安全衛生最新事情】第389回 神奈川建設アスベスト第2陣控訴審事件 一定のシェアで建材メーカーに責任 東京高裁令和2年8月28日判決
Ⅰ 事件の概要
原告X1らは元建築作業従事者44人であり、建築現場において石綿含有建材を加工・使用して建物を建築・改修し、または建物を解体する業務に従事した結果、建材から発生する石綿粉じんにばく露し、石綿肺、肺がん、中皮腫などの石綿関連疾患にり患したとして、被告国と被告Y1社ら建材メーカー43社に対して損害賠償請求訴訟を提起した。
一審判決(横浜地裁平成29年10月24日判決)は、被告国に対する請求は32人を一部認容し、被告Y1社ら建材メーカーの関係では、被告ニチアスの関係で2人につき一部認容し、被告ノザワの関係で8人につき一部認容した。
この判決について、X1ら、被告国、Y1社らがそれぞれ控訴したのが本控訴審である。本件控訴審では、争点は種々あるが、(1)一人親方などの請負業者を保護の対象とするか否か、(2)民法719条1項後段の択一的競合の場合に連帯して責任を認めるか否か、(3)粉じんの到達についてのシェアによる因果関係を認めるか否かであった。
Ⅱ 判決の要旨
(1)一人親方についての被告国の責任
職場における粉じんの規制を定める安衛法22条と職場における有害物の製造等禁止を定める安衛法57条は、労働者のみならず、建設業における重層下請構造ゆえに建設現場で労働者とともに労働者と同等の立場で建設作業に従事するのが常態である一人親方などをも保護の対象とするものと解するのが相当である。…
執筆:弁護士 外井 浩志
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