【裁判例が語る安全衛生最新事情】第390回 神奈川建設アスベスト(第1陣)上告審事件 労働者に該当しない者も保護対象 最高裁令和3年5月17日判決
2022.04.12
【安全スタッフ】
事件の概要
建設アスベスト事件の上告審判決は、令和3年5月17日に言い渡されたが、都合4件の上告審判決であった。すなわち、神奈川建設アスベスト(第1陣)、東京建設アスベスト(第1陣)、京都建設アスベスト(第1陣)、大阪建設アスベスト(第1陣)のそれぞれの上告審判決である。ここでは、そのうちの、神奈川事件を紹介する。
神奈川事件の第1陣の控訴審は東京高裁平成29年10月27日判決(本欄No.317~318、2019年4月1・15日号参照)であるが、原告X1らは主として神奈川県内において建築作業に従事した者またはその遺族ら75人であり、石綿関連疾患にり患したとして、被告国およびY1社ら建材メーカー44社を訴えた。控訴審判決は、被告国と建材メーカー6社の責任を認めた。そのため、原告、被告国、被告建材メーカーがそれぞれ上告(上告受理申立)した。
なお、判決文はかなり長いので解説的な判決内容の紹介になることをお許しいただきたい。
Ⅱ 判決の要旨
(1)被告国の不作為による責任期間の範囲
控訴審判決は、被告国の規制権限不行使による違法な状態の期間を、昭和56年1月1日から平成7年3月31日までと判断していたが、最高裁は、…
執筆:弁護士 外井 浩志
この記事の全文は、安全スタッフの定期購読者様のみご覧いただけます。
▶定期購読のご案内はこちら
この連載を見る:
2022年4月15日第2400号 掲載