【想いはせれば】第177回 100周年の労働科学研究所
2022.04.26
【安全スタッフ】
▶その時20歳代の私は、九州方面行きの寝台夜行列車に乗っていました。先ほどから向かいの席で、独り言をいいながら座席の暗い電灯に、大判の胸部のフイルムをかざして見ている人がいました。その人は私の気配を感じたらしく、こちらを向いて招いてくれました。「じん肺ですか?」と聞くと、その人は私の質問にちょっと驚いた様子でしたが、「これが珪肺」「これが炭肺」「綿肺」「石綿肺」(石綿障害は既に問題視されていた)…など、詳しく説明してくれました。
翌朝、私が寝台の中で目を覚ますとその人の席は空でした。その後、この話を労働科学研究所(労研)の知人に話したところ「佐野先生じゃないかな。先生は当時、山口県宇部の炭鉱や化学工場に指導や調査に行っていたから」とのことでした。その列車は早朝に宇部に到着するものでした。
いつかご挨拶に伺おうと思いながら、できず終いになってしまいました。
▶そのころ私が安全衛生スタッフとして勤務していた化学工場では、…
執筆:セフテイレビュー 代表 末松 清志
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2022年5月1日第2401号 掲載