【人事学望見】第1332回 事業譲渡と労働契約承継 原則論は人材のえり好みが可能
2022.04.21
【労働新聞】
企業組織の再編には、大きく合併、事業譲渡、会社分割の3パターンがある。それに伴い、労働者(労働契約)も、会社間で受渡しが行われる。合併は「包括継承」で、会社分割の場合は詳細なルールが労働契約承継法で定められている(部分的包括継承)。
全員が異動とは限らない
上記2種類に比べると、事業譲渡は会社間の契約による部分が大きく、労働者の身分も不安定になりがちだ。異動を希望する(または希望しない)労働者が、希望と反する結果となっても、救済が簡単でないケースも生じる。
事業譲渡は、その名のとおり、A会社が契約により、B会社に対して「事業」を譲渡(売却等)することをいう。事業とは「営業目的のために組織化され、有機的一体として機能する財産」を指す。譲渡の対象になるのは、工場等の設備や不動産だけでなく、のれん(ブランド)やノウハウなどの無形の財産も含まれる。さらに、事業を運営していくための人材(労働者)も、不可欠の要素となる。
「事業」は有機的一体となった存在だが、その範囲は、…
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令和4年4月25日第3350号12面 掲載