【高まるリスクに対処!新時代の労働時間管理】第16回 所定就業時間後の残業管理 許可制は適正運用を 他の記録優先され労災に/岸田 鑑彦
2022.04.28
【労働新聞】
自己申告と実態に乖離
労災事案における労働時間認定について、今回は所定就業時間後の残業について解説する。
前回取り上げた早出残業と同様、タイムカードの終業打刻がただちに業務の終了時間とは限らない。仕事が終わったにもかかわらず終業打刻をしないで同僚と雑談した後に打刻しているような場合は必ずしも打刻時間まで残業をしていたことにはならないし、逆に打刻した後に仕事を再開しているような場合には打刻以上に残業時間が存在することになる。また終業打刻は実際の業務終了時にしているが、その後オフィスに留まり雑談をしていたために退館記録と乖離が生じているケースもある。たとえば同僚同士で終業打刻は別々であるものの、オフィスの退館記録が同じタイミングであったことから両人に確認したところ、一方の業務終了をもう一人が待っていたということがあった。このように所定就業時間後の残業については、会社の把握と実際の残業時間に齟齬が生ずることが多々ある。
たとえば残業許可制を導入した会社が従業員の申請で残業時間を管理していると、タイムカードなどの客観的記録と乖離が生じることがある。申請は2時間だったが、打刻は…
筆者:杜若経営法律事務所 弁護士 岸田 鑑彦
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令和4年5月2日第3351号6面 掲載