【トラブル回避型 解雇、退職勧奨の手法】第16回 企業外非行に対する懲戒 業種・業態が重要に 信用に影響あれば有効/延増 拓郎
2022.04.28
【労働新聞】
SNS拡散も判断要素
懲戒権は、企業が事業活動を円滑に遂行するために必要な範囲で、企業秩序を維持する権限として使用者に認められたものである。企業外非行を就業規則の懲戒事由に定めても、懲戒解雇を含む懲戒の対象とならないのが原則だ。しかし、企業外非行でも、事業活動の遂行に直接関連する場合や、企業の社会的評価を低下させる、または毀損するおそれがある場合は、懲戒の対象となり得る。
企業の社会的評価を毀損したかの判断基準は、「必ずしも具体的な業務阻害の結果や取引上の不利益の発生を必要としないが、行為の性質、情状のほか、会社の事業の種類、態様・規模、会社の経済界に占める地位、経営方針およびその従業員の会社における地位・職種など諸般の事情から総合的に判断して、当該行為により会社の社会的評価に及ぼす悪影響が相当重大であると客観的に評価されるか」による(日本鋼管事件=最判昭49・3・15)。配置転換、降格や普通解雇などの人事措置は、前述の事情がなくても可能な場合がある。
企業外非行への解雇を論ずるに当たっては、企業「内」と「外」の区別基準が問題となる。次の要素を考慮して判断すべきだ。…
筆者:石嵜・山中総合法律事務所 代表弁護士 延増 拓郎
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令和4年5月2日第3351号11面 掲載