【裁判例が語る安全衛生最新事情】第392回 株式会社まつりほか事件 過労死で名目的な代表の責任認める 東京地裁令和3年4月28日判決
2022.05.10
【安全スタッフ】
事件の概要
亡Aは、飲食店を営むY1社に勤務し、レストラン「祭」の調理長をしていたが、過労のため平成26年3月23日に自宅で不整脈を発症し、翌日死亡した。
原告X1は亡Aの配偶者、原告X2は亡Aの子(長女)である。
被告Y2は、Y1社の代表取締役であるが、全く出勤することはなく、経営には関与していないが、実質的な経営者であるBから依頼され代表取締役に就任していた。
亡Aは、発症直前6カ月の時間外労働時間は、第6期間が123時間5分、第5期間が146時間23分、第4期間が134時間45分、第3期間が131時間24分、第2期間が126時間19分、第1期間が107時間55分であり、1カ月平均128時間を超えていた。
X1は労災申請をしたが、労働基準監督署長は棄却。労働局労災保険審査官への審査請求も棄却されたが、労働保険審査会への再審査請求で労基署長の不支給決定は取り消され、労災請求は認められた。
原告らは、Y1社には安全配慮義務違反による損害賠償請求、Y2に対しては会社法429条1項による損害賠償請求訴訟を提起した。
判決の要旨
1、被告Y1社の責任
Y1社は…
執筆:弁護士 外井 浩志
この記事の全文は、安全スタッフの定期購読者様のみご覧いただけます。
▶定期購読のご案内はこちら
この連載を見る:
2022年5月15日第2402号 掲載