【高まるリスクに対処!新時代の労働時間管理】第18回 待機中は手待時間か否か② 私物許可などで配慮 限られた場所でも休憩に/岸田 鑑彦

2022.05.19 【労働新聞】
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積荷監視義務が争点に

 前回に引き続き手待時間と休憩時間について解説する。手待時間について、使用者の指示があった場合には即時に業務に従事することを求められており、労働から離れることが保障されていない状態で待機などをしている時間は労働時間に該当する(労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン)。前回は「即時に業務に従事すること」についてどのように考えるかを解説した。今回は、労働から離れることが保障されているかどうかについて取り上げる。

 運転業務において、しばしば問題になるのがサービスエリアや駐車場に停車している場合であっても、積んでいる荷物の監視をしなければならないため労働から離れることが保障されていないとの主張だ。確かにドライバーの責務として積んでいる荷物を安全に届けることが求められており、盗難や損傷がないように気を付けることも求められている。しかしこの議論を突き詰めると、運送している場合は常にそのような状況にあり、一切、労働から離れることが保障されていないという結論になるが、それは妥当ではないと考える。

 M事件(東京地判令元・5・31)は、サービスエリアやトラックステーション(食事、休憩、仮眠、入浴等ができる施設)での滞在時間が、労働時間か否かが争われた。

 原告らは、…

筆者:杜若経営法律事務所 弁護士 岸田 鑑彦

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令和4年5月23日第3353号6面 掲載
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