【事故防止 人の問題を考える】第131回 認知バイアスとヒューマンエラー(後編)
2022.05.27
【安全スタッフ】
前回は、ヒューマンエラーの原因となる認知バイアスをとりあげ、認知バイアスとはどのようなものか(目の前の実態が正確に把握できない、本来の姿とは異なった姿をとらえてしまうこと)、認知バイアスが生まれる要因として、過信、楽観、社会的手抜き、グループシンクなどがあることを紹介しました。
今回は、引き続き認知バイアスを取り上げ、認知バイアスがどのように労働災害に関わっているのか、対策をどのようにとらえればよいかなどについて解説します。
熟練者に多い「過信」
◎過信
過信とは、自らの判断や行動は正しいと信じ、それが認知バイアスとなり、無理な行動をしてしまうことです。過信は熟練者に多いといえます。
現場の安全確保には、長年の経験を積み重ねた熟練者の活躍が不可欠です。ただ、過信による熟練者ならではの労働災害があることを忘れてはいけません。
それは、現場の作業を熟知しているがゆえに、…
執筆:労働安全衛生総合研究所 高木 元也
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2022年6月1日第2403号 掲載