【高まるリスクに対処!新時代の労働時間管理】第20回 休憩時間の自由利用保障 過ごし方が争点に 外出制限は合理的制約/岸田 鑑彦

2022.06.02 【労働新聞】
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昼休み分も未払い請求

 会社が休憩時間と考えていた時間が、労働基準監督署では労働時間と認定され、結果として月の時間外労働が増えることにより、労災認定される可能性が高まることについては本連載第14回で触れた。休憩時間については、残業代請求の事案においても同じように争点となることが多い。会社は、毎月の残業代計算をする際には、あらかじめ会社が定めている休憩時間(一般的には1時間)を取れたことを前提に計算していることが多いであろう。しかし残業代請求の事案においては、労働者側は昼休み時間も休憩が取れなかったと主張し、休憩ゼロで残業代を計算して請求をしてくることも多い。会社は、昼ご飯も食べているし、休憩ゼロのわけがないと反論することになる。

 この点、休憩時間とは、労働者が労働時間の途中において休息のために労働から完全に解放されることを保障されている時間をいう。単に実労働に従事していないというだけで、何かあれば即時に実労働に就くことを要する場合には、手待時間であって休憩時間とはいえない。これは労災認定事案でも残業代請求事案でも同じである。

 結局は、昼休みの過ごし方が問題になる。任意交渉や民事訴訟の場合、基本的には当事者間の主張は書面でのやり取りが中心になり、当事者が実際に裁判官の前で具体的な過ごし方などを細かく述べるのは、訴訟が終盤に差しかかった証人(本人)尋問の場面である。一方で未払い残業代が団体交渉の議題になっている場合には、団体交渉の序盤で業務遂行状況をよく知る者(その部署の上司や役職者など)の出席が求められ、そこで細かく議論がなされることになる。会社側の発言などをもとに、労働者側は、労働から完全に解放されていなかったとして上記のような休憩ゼロの主張をする。なお労働審判においても、労働審判委員会が直接当事者に対して昼休みの過ごし方について聞取りを行う。労働審判の場合には事実関係を踏まえて、話合いで解決するために一定程度の休憩時間を労働審判委員会が認定してくれることもあるが、会社が想定していた休憩時間は取れていないとの認定になることもある。

 実際に残業代請求事案において休憩が取れなかった理由に挙がるのは次の①~④のようなものだ。…

筆者:杜若経営法律事務所 弁護士 岸田 鑑彦

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令和4年6月6日第3355号6面 掲載
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