【ぶれい考】“匿名の暗殺”回避を/石田 雅彦
2022.06.09
【労働新聞】
anonymous assassination(直訳すると『匿名の暗殺』)――。人事の仕事でこんな物騒な言葉を聞く機会は滅多にないだろう。数年前、当時在籍した会社の海外現地法人に360度サーベイの導入を働きかけたところ、「No!」「誰が行ったか分からない無責任な評価で、部門長のモチベーションを殺し(=“anonymous assassination”)、組織風土の悪化を招くのは愚の骨頂」と激しく拒絶され、驚いたことがある。
この発言者が過去に360度サーベイでよほど嫌な思いをした可能性もなきにしも非ずだが、この拒絶反応の根底には、「評価は、上司が部下を動かすための最強のマネジメントツール」であり、だからこそ「社員の言動を把握し、評価を行うのはもっぱら上司であるべき」との信条があったと理解している。社員数百人の規模でお互いの言動が見えやすく、良好なチームワークが醸成されていることから、…
筆者:オリックス生命保険 執行役員 石田 雅彦
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令和4年6月13日第3356号5面 掲載