【中小企業も実現できる!ハラスメントのない職場】第10回 VUCA時代の管理者研修 許容が成長につながる 人と向き合う時間作りを/稲尾 和泉
2022.06.09
【労働新聞】
不安をマネジメント
世界情勢が混迷を極める現代において、ビジネスにおいてもさらなる変革が求められている。その象徴として使われるのが「VUCA」というキーワードである。VUCAとは、世界経済や気候の変動が激しく(V)、これまでの経験を生かせるかどうか不確実で(U)、顧客や取引先との利害関係も複雑で(C)、商品やサービスが思いがけず大成功するような曖昧性(A)を指している。
経営者には、ビジネスを通じて利益を上げ、事業を継続させる責任があるが、これまでの定石が通用しないVUCA時代では、従来と同じ商品やサービスを提供していても、成功するとは限らないということを自覚する必要がある。しかし、そう簡単に新たなビジネスの種はみつからない。このような先行きが不透明な状況は、人々を不安にさせる。これらの不安を回避する方法として、リスクの高い新たなチャレンジを回避したり、ルールを作って失敗を予防しようとしたりすると、結果的に市場の変化から取り残されてしまう。これまでのやり方に固執してもうまくいかず、叱咤激励という名目で部下を怒鳴ればパワハラを誘発する。
このような状況の打開には、経営陣や上司自身の「不安のマネジメント」が必要だと考えている。VUCAから来る不安に対しては、…
筆者:㈱クオレ・シー・キューブ 取締役 稲尾 和泉
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令和4年6月13日第3356号13面 掲載