【裁判例が語る安全衛生最新事情】第395回 岡本土木・日鉄パイプライン等事件 重大な過失を認め損害額6割相殺 福岡地裁小倉支部令和3年6月11日判決
2022.06.28
【安全スタッフ】
Ⅰ 事件の概要
原告Xは、総合建設請負業を行う被告Y1社の従業員である。Y1社は、元請業者であるY2社からガス管敷設工事を請負い、Xは現場監督をしていたが、バックホーでつり上げた鋼矢板が落下して、倒れてXの頭部に落下して、Xは、第1ないし第3の胸椎椎体骨骨折の障害を負い、その後、障害等級で第10級の20に該当する後遺障害の認定を受けた。
本件工事は、Y2社が請負ったガス管敷設工事はY2社からY1社へ、Y1社は孫請業者Qへと請負に出していた。
Xは、雇用主であるY1社と元請業者であるY2社とを相手取って、安全配慮義務違反があったとして損害賠償請求訴訟を提起した。
Ⅱ 判決の要旨
1、事故態様と雇用主Y1社の責任
Xは、本件工事現場において、現場監督を行っていたところ、土留め作業の途中で、バックホーが掘削した掘削溝の側面が水漏れしていたため、側面が崩れる危険性があると感じた。そのため、Xが危険を監視するために側溝に下りて監視を始めたところ、本件鋼矢板がバックホーで運ばれる途中、縦つりクランプから外れ、道路舗装面に落下した後、Xのほうに倒れてXの頸部に当たり負傷した。…
執筆:弁護士 外井 浩志
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2022年7月1日第2405号 掲載