【高まるリスクに対処!新時代の労働時間管理】最終回 長時間労働と慰謝料請求 発症の有無は問わず 精神的苦痛で支払い義務/岸田 鑑彦
2022.06.23
【労働新聞】
因果関係なくても違反
過重労働によってうつ病や脳疾患などを発症した場合、会社の安全配慮義務違反が問われ、休業補償、死亡・後遺症慰謝料、逸失利益などの支払いが命じられるケースがある。
では長時間労働があったものの、精神疾患などの疾病を発症しなかった場合、長時間労働を理由として慰謝料の支払い義務が生じるのか。狩野ジャパン事件(長崎地裁大村支判令元・9・26)は、約2年間にわたる長時間労働などを理由として、慰謝料30万円の支払いを命じている。残業代請求事案では、過去の未払い残業代の支払いが命じられたとしても、それとは別に慰謝料が認められることは珍しい。
ただこの事案では、請求期間である25カ月のうち、2カ月は90時間以上、6カ月は150時間以上、1カ月は160時間以上、残りの16カ月は100時間以上の時間外労働が認定されるほど長時間労働の実態があった。そのため裁判所は「労働者が労働日に長時間にわたり業務に従事する状況が継続するなどして、疲労や心理的負荷等が過度に蓄積すると、労働者の心身の健康を損なう危険のあることは、周知の事実である。そうすると、…
筆者:杜若経営法律事務所 弁護士 岸田 鑑彦
この記事の全文は、労働新聞の定期購読者様のみご覧いただけます。
▶定期購読のご案内はこちら
この連載を見る:
令和4年6月27日第3358号6面 掲載