【時代に沿った就業規則のアップデート】第1回 変更手続きにおける留意点 労契法踏まえ判断を 法令対応は同意得ずとも/岩出 誠

2022.06.30 【労働新聞】
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運用規定にも類推適用

 労使紛争の発生抑止と発生時の損害拡大防止のために、いかに就業規則が大きな役割を果たすかは明らかである。ある定めがあるかないかで勝負が決まることがある(人事考課による降給、懲戒処分や退職金不支給など)。また、その書きぶりでも同じことが起こる(退職後の競業避止義務規定、解雇事由規定など)。そもそも、ある定めが置かれていなければ法令違反による罰則等の制裁を受けることもある(労働基準法89条、120条1号など)。

 なお、ここでいっている就業規則とは、労基法89条の必要的記載事項を定める題名が「就業規則」とされるものだけではない。賃金規程、退職金規程、災害補償規程、服務規律規程、倫理規程、懲戒規程、人事異動規程、出向規程、職務発明規程、育児介護規程、情報管理規程、ハラスメント防止規程、定年後再雇用規程、人事考課規程や実質的に周知された「内規」「マニュアル」「運用規定」「細則」など一切を指すものと想定されたい。

 郵便事業連続「深夜勤」勤務事件(東京地判平21・5・18)も、深夜労働運用細則の改定には就業規則の不利益変更が適用ないし類推適用されるとして、同判例法理で求められる合理性があるとしている。

 ただし、ANA大阪空港事件(大阪高判平27・9・29)では、…

筆者:ロア・ユナイテッド法律事務所 代表パートナー弁護士 明治学院大学 客員教授
岩出 誠

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令和4年7月4日第3359号6面 掲載
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