【裁判例が語る安全衛生最新事情】第396回 サンセイほか事件① 脳出血発症で業務負担軽減せず責任 横浜地裁令和2年3月27日判決
2022.07.12
【安全スタッフ】
Ⅰ 事件の概要
亡Aは、吸収前のC社に勤務していたが、C社が吸収合併された後は被告Y1社の社員となり、岩手県にあるB支社で勤務していた。当初C社の金型などの製造をしたり、その後はB支社で営業技術係長を務めていた。
Y1社の代表取締役は被告Y3、元代表取締役が被告Y2、専務取締役兼工場長が被告Y4である。
亡Aは平成23年8月6日、自宅のトイレで意識を失い、救急車で病院に運ばれたが、脳幹部出血で、翌8月7日に死亡した。
亡Aの時間外労働時間数は、発症前1カ月で85時間、2カ月前で111時間、3カ月前で88時間、4カ月前で51時間、5カ月前で63時間、6カ月前で75時間であり、6カ月平均は79時間(小数点以下切捨て)であった。
所轄労働基準監督署長は、X1の労災請求に対して、亡Aの発症は業務上であるとして支給決定を下した。
ところが、Y1社は、平成23年12月20日に解散を決議し、Y3が代表清算人に選任された。原告X1は亡Aの妻、原告X2、X3はその子らである。X1らは、解散したY1社、および、取締役であったY3、Y2、Y4らを被告として損害賠償請求訴訟を提起した。
Ⅱ 判決の要旨
1、Y1社の安全配慮義務違反
認定基準によると、…
執筆:弁護士 外井 浩志
この記事の全文は、安全スタッフの定期購読者様のみご覧いただけます。
▶定期購読のご案内はこちら
この連載を見る:
2022年7月15日第2406号 掲載